初期中期を通して、最も人気が高く、魅力もある作品ですが、残念ながら、大作の保存版が残る以外は、もう描かれることはないそうです。理由は簡単で、曲線で描かれた色面の中を細かく塗り分けるのは、異常に労力の要る重労働だから、という事らしいです。見る側からの想像とは逆で、直線のキッチリした幾何学面を塗り分ける方が余程楽だそうです。それにしても心残りなのは これほど魅力的で親しみやすいシリーズが、もう SM から8号あたりまでの出回るものというのは、10枚もない、ということです。そして残るものは保存版としての大作ばかりというのですから残念な気がします。とにかく風景画と抽象画の要素が半々ぐらいで、画面いっぱいに幻想味が溢れるのも大きな魅力の一つです。柔らかい曲線による細い色面がそれぞれひびきあっている美しさというのは、なかなか類がありません。「この田園交響曲はまるでマーラーの交響曲が本当に響いているような趣がある」と、海外オークションで評論されたそうですが、まさに広大無辺な空間に公響曲がいっぱいに響いているような豊かさを感じさせます。こういう曲線による色面構成を仕上げるのは、重労働だ、とはなかなか理解しがたいことでした。